1. 成長期待のポイント
スミダは中期経営計画(2026–2028)でFY2025売上1471億円→FY2028売上1650億円(CAGR約3.9%)、営業利益74億→100億円、ROIC5.4%→6.7%を目標。xEV・データセンター・電力インフラ等メガトレンドとSchmidbauerの統合、BEP改善で今後3年は緩やかな増収・利益拡大が見込まれる。
2. 成長ドライバー別の分析
メガトレンド需要(xEV / データセンター / 再エネ・電力インフラ)
- FY26.2Qでメガトレンド関連売上は約95億円(前年同期比+78%)と高伸長。xEVやデータセンターが短中期の需要源。
- 中期計画ではグリーン関連売上394億円→500億円(CAGR約8.3%)を想定、インダストリー市場はFY25→FY28でCAGR約6.9%想定。
- 車載分野は同計画で車載売上854→950億円(CAGR約3.6%)、車載比率は依然高く(同社約6割)需給動向が成長に直結。
既存事業の収益性改善(BEP改善・生産性向上)
- MTBPはBEP改善・「転用」(製造効率ノウハウの全社展開)を掲げ、固定資産を増やさず効率で利益を引き上げる方針。
- 目標指標:CCCを96日→89日、固定資産回転率2.7→3.2倍、Net D/Eを0.81→0.60を目指す(資金効率と財務健全性向上)。
- FY26.上期は操業度上昇による固定費低減効果が寄与。品質問題の一時コスト(製品補償引当約9.87億円)はあったが、実力ベースでは改善余地。
M&A・新事業・技術(Schmidbauer統合、SST・VPコイル等)
- 2025年のSchmidbauer買収で大型コイル分野を取り込み、FY26.2QでSchmidbauer寄与は売上約11億円・営業利益約1億円。東欧・アジア・北米での生産最適化とクロスセルで収益拡大狙い。
- 新事業ではInfineonとのSST共同開発、VPコイル(医療応用)、量子センシング等の長期成長機会を確保。短期の収益寄与は限定的だが中長期の差別化要因。
- 研究開発投資はFY26計画で約60億円(3年で強化)とし、技術を軸に高付加価値市場参入を加速。
3. 今後3年の業績成長イメージ
中期計画通りなら売上は年平均約3.8–4.0%成長でFY2028に1650億円、営業利益は74億→100億円へ急速改善(営業CAGR約10%前後)を想定。EPSは109円→174円(3年で年率約16%)と大きく伸びる見込み。成長はメガトレンド需要とSchmidbauerシナジー、及びBEP改善による利益率向上の掛け合せで実現される想定。
4. 課題・リスク
- 需要側リスク:xEVやデータセンターの投資動向が鈍化すれば成長シナリオに影響。特に車載依存度が高く、地域別(中国・米国)の動向に左右される。
- コスト・為替・原材料:銅などコモディティ高、石油化学製品・物流費上昇が利益を圧迫。為替感応度も高く(USD1円で営業益へ数億円の影響試算あり)。
- 統合・品質リスク:SchmidbauerのPMIに伴う統合遅延や、既知の品質問題(引当約9.87億円)の再発は業績とブランドに悪影響。
- 投資回収リスク:SSTや医療用途など新規技術は中長期の投資回収。期待が実現しない場合、投下資本の回収負担が残る。
5. 総括
短中期はメガトレンド追い風とBEP改善で増収・営業力向上が期待される。MTBPの数値目標(売上1650億・営業100億)は控えめな成長率だが利益改善シナリオは現実的。ただし、原材料・為替・品質問題・Schmidbauer統合の進捗が鍵。投資判断は3要素(メガトレンド受注の継続性、統合・品質の改善、為替・コストトレンド)を注視することが重要。