1. 成長期待のポイント
古野電気は舶用(特に商船の新造・換装)と保守サービスの拡大、産業用(時刻同期/GNSS・防衛)の拡大、AI・データサービス等への投資で、2026-2028年の中期で売上1,500億円・営業利益率10%以上を目標とする成長が見込まれる。
2. 成長ドライバー別の分析
舶用(商船の新造・換装と保守サービス)の堅調需要
- 世界の新造船は2026–2028年で総建造隻数約1,750隻の想定で、新造・換装需要が継続。
- 代替燃料船や環境規制対応による機器更新・換装需要で機器販売と保守サービスが伸長。
- 事業戦略で「保守メンテナンスの更なるグローバル展開」を掲げ、保守収益(ストック化)で利益の安定化を目指す(中期で保守250億想定)。
産業用(GNSS/時刻同期・防衛・ヘルスケア)の成長
- 時刻同期/GNSSは重要インフラ需要でグローバル展開余地が大きく、事業拡大を図る方針。
- 防衛装備品は国内防衛予算拡大の追い風で受注高が高水準、短中期的に生産・売上拡大(防衛70億想定)。
- ヘルスケア(IVD)分野は市場予測で2024→2029年CAGR約6.6%の成長が見込まれるが、中国市場でのコスト競争が課題。
技術投資・新規事業(AI・データサービス・デジタル化)
- 中期計画でAI推進部門新設やデータサービス拡大、無人運航やスマート漁業など新規領域へ投資。
- キャッシュアロケーションでは総額400〜500億円規模の投資枠を想定し、成長投資へ積極配分。
- 既存センサー・センシング→データ→サービスのストック収益化によりROIC向上を狙う(新規事業40億想定)。
3. 今後3年の業績成長イメージ
中期計画目標は2028年度売上1,500億円(FY2025想定1,375億→目標化)・営業利益率10%以上、ROE/ROIC10%以上。想定達成のシナリオは、(1)舶用の新造・換装需要で機器売上と保守ストック収益を底上げ、(2)防衛・時刻同期で高マージン案件を取り込み、(3)AI/データ投資で新たなストック収益を創出すること。単純換算の売上CAGRは約3%程度だが、利益率改善とストック型収益化でEPS改善が見込まれる。
4. 課題・リスク
- 部材供給と半導体等の調達逼迫による納期遅延・コスト上昇リスク。
- 地政学リスク(中東・中国の輸出規制等)や為替変動が受注・採算に影響。
- ヘルスケア分野では中国市場のコスト競争が業績下押し要因。
- 新規投資の採算化遅延や人材確保(DX/AI人材)遅れで期待収益化が後ずれする可能性。
- プレジャーや教育ICTなど地域別需要のばらつきで想定成長が毀損され得る。
5. 総括
堅調な舶用市場と保守サービスのストック化、産業用の高付加価値分野、AI・データ投資による新規収益が揃っており、目標達成で今後3年は増収・収益性改善が期待される。一方、供給網・地政学・投資回収の遅れが成果を左右するため、進捗とマージン改善の確認が投資判断の重要ポイントとなる。