1. 成長期待のポイント
静岡ガスは基盤の都市ガス安定収益に加え、電力・再エネや海外上流(米国シェール、LNGファンド出資)へ積極投資。2026年は業績一時落ち込む見込みだが、中期では設備投資と海外上流で収益の安定化・成長が期待される。
2. 成長ドライバー別の分析
電力・再生可能エネルギー事業の拡大
- 電力販売量は2026年上期で313百万kWh(前年272百万kWh、+15%)と拡大、通期計画は588百万kWh。需要取り込み余地あり。
- 事業投資はガスエンジン増設、系統用蓄電池、PV等で収益性向上とピーク対応力を強化。
- 電力・再エネの拡充はガス需要の季節性や価格変動リスクを相殺するポートフォリオ効果が期待される。
海外上流・LNG関連投資による上流統合
- 米国シェール事業の鉱業権取得(約1.27億米ドル相当)や、新規井掘削を計画しており、上流権益からの収益確保を目指す。
- 2026年7月にLNG事業ファンドへ出資(実行分62百万米ドル)など、ファンド投資でLNGバリューチェーンにアクセス。
- 上流投資は調達安定化とロングタームでのマージン改善に寄与する可能性があるが、投資回収まで時間を要する。
基盤事業の安定成長とサービス多角化(クロスセル)
- 都市ガス販売量は上期で805百万m3(前年798)、通期計画1,568百万m3とほぼ横ばい〜微増水準を見込む。
- 連結子会社化や買収(住宅・サービス系子会社の連結化、関係会社株式取得等)で「くらしサービス」領域を拡大し、ガス+電力+サービスのクロスセルでARPU向上を目指す。
- 配当方針は累進配当とDOE目標(約2.6%)を維持しており、株主還元は安定的。
3. 今後3年の業績成長イメージ
会社計画では2026通期売上高2,011億円(ほぼ横ばい)、補正前経常利益104億円(2025比で減)を見込む。2026年は原料費調整やタイムラグ等で利益が抑制される見込みだが、電力・再エネの拡大と海外上流投資の運転開始/投資回収が進めば、2027〜2028年にかけて営業利益率は段階的に回復する想定。想定レンジ:売上CAGRで概ね0〜3%、経常利益は初期の落ち込みの反動を含め中期で年平均2〜6%程度の回復シナリオが現実的。
4. 課題・リスク
- 原料価格・為替の変動と原料費調整制度(タイムラグ)により利益が大きくぶれる。
- 海外上流やファンド出資は資本回収に時間がかかり、想定どおりの収益化が遅れるリスク。
- 再エネ・電力投資の採算性(需給状況、補助金や制度変更)と接続制約、建設遅延。
- 金利上昇や大規模投資に伴う財務負担、また地域ガス需要の長期停滞・脱炭素政策による需要構造変化。
5. 総括
短期(2026)は利益面で調整局面だが、電力・再エネの拡大と海外上流投資によるLNGバリューチェーン強化が中期の収益安定化・成長の鍵。ボラティリティ高の事業構造ゆえ、投資判断は上流案件の進捗と再エネ事業の収益性、原料・為替動向を注視することが重要。