1. 成長期待のポイント
スルガ銀行は中期計画(2026–2028)で経常利益を340億→525億、ROE11%目標とし、アライアンス(クレディセゾン深化)、貸出ポートフォリオ転換、AX(AI)で生産性向上を図る。経常利益CAGRは約15%見込み。
2. 成長ドライバー別の分析
アライアンスと資金調達強化(クレディセゾン等)
- クレディセゾンとの協業を第2ステージへ深化し、預金獲得・デジタルバンキング連携で低コスト資金を確保。
- アライアンスを軸に法人向け・リテールの商機を拡大し、粘着性ある預金基盤とクロスセルを推進。
- 調達力向上は資金コスト抑制と運用余力拡大につながり、配当・自社株取得余地も創出(自社株取得枠:上限120億円)。
貸出ポートフォリオの質的転換と新規貸出拡大
- 「Newポートフォリオ」(住宅、貸家業向け、ノンリコース、不動産以外)への比重拡大でリスク分散を実行。特定不動産依存を25%程度へ低下。
- ストラクチャードファイナンス、コラボレーションローン、事業性融資などでローン実行を拡大(2025見通しの新規実行約5,367億→2028計画も大規模実行)。
- 新事業粗利益は2022年77億→2025年285億と急成長(短期CAGRで高い伸び)、収益基盤の底上げを期待。
AX(AI)・デジタル化による生産性と収益性向上
- 全社でAX推進、業務効率化目標約30%(約50万時間相当)でOHR改善と固定費効率化を図る。
- ダイレクトチャネル強化(インターネット支店、アプリ)で新規口座・目的別ローン獲得を拡大し、顧客LTVを上げる。
- AIによる審査・稟議・期中管理の自動化で与信管理精度向上と運用コスト削減を両立。
3. 今後3年の業績成長イメージ
中期計画数値ベースでは、経常利益は約340億(2025想定)→525億(2028目標)で年平均成長率は約15%前後、コア業務粗利益は650億→770億でCAGR約5.5–6%程度を想定。金利シナリオは2027年4月に政策金利1.25%想定(貸出追随率90%、定期80%等)で利ざや拡大が期待される。加えて新事業粗利益の高成長とAXによるコスト低減でEPSは着実に上振れる想定。
4. 課題・リスク
- 与信リスク:旧来の特定不動産やアパマン関連債権の残存リスク、景気・賃料下落による信用コスト増の可能性。
- 金利・資金コストの不確実性:想定以上の預金流出や競争激化で調達コストが上振れると利ザヤ拡大期待が剥落。
- 実行リスク:クレディセゾン協業やAX導入の遅延、ローン品質維持と新規案件の採算管理が課題。
- ガバナンス/規制:コンプライアンス強化や追加的な係争対応・賠償コストが発生する懸念。
5. 総括
中期計画は経常利益CAGR約15%・ROE11%目標など野心的で、アライアンスと貸出ポートフォリオ転換、AIによる効率化が実現すれば3年で大幅な収益改善が期待される。一方、与信管理と想定金利の実現性が達成の鍵。